Fly me to the moon

舞台の感想・おそらくほぼ宝塚

とある日への感想

良い終わり方、選び取れた最良でしょう。
「はぁーよかったなぁ」と思いながらも、今更執着しているのですから諦めが悪い我ながら

 


いつになったら気づくのだろうと思っていた、本当に本当に大切なもの、ことに。
日々の変化を逐一記録しているような感想には今のところ出会えていないけれど。
そしてその深度で見つめている感想にもまだぶつかっていない。
 

もちろん「間に合った」、間に合ったけど遅いって言いたい気持ち。


物事はなるべくあらゆる方向から見て精査されるのが望ましく。
正義と悪の単純な二項対立が許されるのは虚構の中だけ。
けれどそれが許されない場所。その残酷さ
そこにひとのかなしさを見る、誰も傷つけたいなんて思ってないのに


愛が強まればその分だけそれに合致しないものを排斥するということ
強く選び取ればその分だけ選ばれなかったものは押しのけられるということ


愛があればそれは是か
あなたの愛に値しないものは本当に価値がないのか
愛というものにひそむ暴力性に心底ひやっとした。
これはあの人のことだけを言っているわけではない、
まわりを取り巻くあらゆる事がらについて。


その愛は代わりに誰かを傷つけてはいないか、
好きなものに夢中になるとき、一瞬周りを見渡してみたら。


けれどこの苦しさを超えて、さらに大きなものを守るために今を紡いでいる
見据えているのはもっともっと大きなもの、個人の感情なんて取るに足らないような
だから、じっと耐えて痛みが風化するのを待つ


しかし、共に生きているひとの感情を切り捨てて、後に何が残るのだろうと悪態をつきたくもなる
何を目指すのか?目的地はどこ?

多分その辺が曖昧なのかもしれない。

 

それと虚実織り交ざって翻弄され迷子になりそうになりながらも、
最後に残った真実は彼女が見せた揺るぎなさ、本物の強さということ。
それがしみるから、しんどい。

 

忌憚なくいえば、誰かが誰かを守れるなんておこがましくないか
(実際、守り守られていることは往々にしてあるだろう。けど実際的なそれと、言葉にしたそれの距離を思う)
全て身を寄せ合って、双方に影響を及ぼしながら、慮り、労りあいながら生きている。


けどそれが許されないのなら、その場所の窮屈さを私は憎めばいいのかもしれない、人ではなく。
彼女にも同じように自由になってもらいたかった。鏡はどちらかだけ単独で変われるなんてことはありえない。どちらにより裁量が、選択肢があるかは明白だった。真に選ぶことができたのは彼女の方だけだった、ずっと。
それを見つめ続けた彼女もまた、そんなどうしようもない現実を一緒に引き受け続けてきた。だから強くて当たり前。